世界中で取り組む課題として挙げられている温室効果ガスの排出削減。そのために宣言されたのが「カーボンニュートラル」です。この記事では、カーボンニュートラルとは何かという基本的な情報から、カーボンニュートラルを取り組む際の課題や各企業の取り組みになどについて紹介します。
カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いてゼロにすることを意味します。
カーボンニュートラルが言われるようになったのは、地球温暖化が深刻化しているためです。世界平均気温が1℃上昇するだけで世界各地で異常気象が起こり、人間の生活に大きな影響を及ぼします。すでに1850年~1900年の工業改善と比較して2020年時点で1.1℃の気温上昇が起こっており、気候変動の要因となる温室効果ガスの削減は各国はもちろん自治体や企業全体で取り組むべき課題となっています。
日本を含めて124か国と1地域が2050年までのカーボンニュートラル実現を目指しています。日本の取り組みとして、改正地球温暖化対策推進法の成立やグリーン成長戦略、二国間クレジット制度などを行っています。
脱炭素社会へのアプローチとしては、スコープ1、2、3の削減があります。
自社施設の直接排出量、自社施設で購入した電気・熱の仕様に伴う間接排出量だけでなく、製品購入元や施工工場、出張や通勤で使用する交通機関などさサプライチェーン全体で考え、対策することが大切です。
国として具体的な見通しを立てるために策定されたものであり、14の分野で実行計画を策定しています。
各分野は成長フェースが異なるため、分野ごとに工程表を作成し関係省庁と連携しながら実施するようになっています。
グリーン成長戦略を実現するためにグリーンイノベーション基金の創設や企業の脱炭素化投資を後押しする大胆な税制措置、投資を促す環境整備なども行っています。
カーボンニュートラルは、全体で90%を超える認知度があります。しかし、その一方で大手企業で11.0%~18.0%、中小企業で22.5%の人があまり内容を理解できていないという実態もあります。
取り組み状況としては、「取り組めている」と「取り組めていない」と答える企業はおよそ半々となっており、まだまだ取り組みへの余地があると言えます。
カーボンニュートラルの実現には、経営層のリーダーシップや予算、政府・自治体によるサポートなど様々なものが必要です。取り組むにあたって必要となる予算についても企業規模によって差があり、取り組み内容や力の入れ方に差があると考えられます。
カーボンニュートラル導入にあたって企業が抱えている課題としては、知識やノウハウの不足、資金確保の難しさなどが挙げられます。また、カーボンフリー電源である再エネの供給が不十分であるため、化石燃料の削減が簡単ではないこともカーボンニュートラルの導入を困難にしています。
情報参照元:【パーソル・データから見る企業実態調査】カーボンニュートラルに関する取り組み実態調査
カーボンニュートラル実現のためにの取り組みとしては、次の3つが挙げられます。
企業単独で行うこともできますが、CO2の吸収・除去の取り組みについては植林や貯留など複数社や自治体などとも連携した取り組みが必要となります。
また、これらの取り組みをするにあたり、現在のCO2排出量を把握すること、省エネ診断や補助金の活用など当面の取り組みを決め、計画を策定することが重要です。
海外でも多くの国がカーボンニュートラルの実現を表明しており、各国が複数の手段を用いて取り組んでおり、投資や技術の開発が積極的に行われています。
ヨーロッパで行われているが、サーキュラーエコノミーです。サーキュラーエコノミーは、廃棄が前提とされていた製品を新たな資源とすることで、廃棄物の量を減らす・廃棄物そのものを出さないという考え方です。
資源循環だけでなく、資源の回収や再利用を行うことで経済成長や雇用の創出効果も期待できる方法です。
ヨーロッパでは、産業界に対して製品の耐久性や再利用性を高めること、循環性を阻害する製品の規制、リサイクルのしやすさなどの取り組みを課す取り組みも行っています。
ベトナムやインドネシアなどのアジアでは、石炭火力発電所の新設を撤廃し、脱石炭火力の動きが見られます。ベトナムでは太陽光、風力、小水力などの自然エネルギー発電を優先することを明確化しています。インドネシアでは20年以上経過した石炭火力発電施設は自然エネルギー施設へと立て替えることが決定しました。
MUFGは国内金融機関では初めて、2030年までの自社温暖化ガス排出量をネットゼロにするMUFGカーボンニュートラル宣言を行っています。
三菱UFJフィナンシャルグループでは、国内560拠点で使用する電力を再エネに切り替えました。
また、MUFGは新規の石炭火力発電所へのファイナンスを実施しない方針を打ち出しており、脱炭素社会に向けて活動しています。
サステナクラフトでは、植林事業などの森林評価技術を武器に、自社では減らせない排出量を埋め合わせるカーボンオフセットに取り組んでいます。
従来ドローンなどで行っていた森林モニタリングを衛星リモートセンシング技術を用いることで、モニタリングコストを抑え、高精度のモニタリングに挑んでいます。
東急建設株式会社では省エネ建築物普及のためにZEB・ ZEH-Mへの取り組みを実施。2030年までに工事や事業所を含む事業活動で使用する全ての電力を再エネ電力に変えることを目標として、2021年度からすべての新規着工工事に再エネ電力を適用しています。
また、建物の引き渡しまでに現場で発生する電気・ガス・水から発生するCO2発生量94tのうち65tをオフセットした実績があります。
企業がカーボンニュートラルを経営に生かすためには、経営者が先頭になって取り組むことが大切です。
カーボンニュートラル導入の課題として、ノウハウ不足や資金不足が挙げられるため、研究開発志向がなければ自社で作り、積極的に資金調達を行うことも重要となるでしょう。
また、カーボンニュートラルの目標である2050年に中心となるであろう若手人材の意見を取り入れ、活用しましょう。ワーキンググループを作り、具体的な政策、ルールや規格の策定、CO2回収や活用技術に関する基礎研究支援などを話し合うと良いでしょう。
カーボンニュートラルなどSDGsに積極的な企業や商品や、取引先、消費者に選ばれやすい傾向にあります。カーボンニュートラルへの取り組みにはある程度コストがかかってしまいますが、それをただのコストとして考えるのではなく経営戦略として考えることも大切です。
カーボンニュートラルは、国や自治体だけでなく企業や個人が取り組むべき地球全体の課題です。企業にとってはコストやノウハウ・知識不足といった課題がありますが、企業がカーボンニュートラルに消極的だと、世界市場での顧客離れなどの大きなリスクが生じる恐れがあります。
カーボンニュートラルは世界的な取り組みだと認識し、大手企業だけでなく中小企業も行うべき流れです。特に若い世代はSDGsに敏感であり、新たな顧客、雇用獲得のための武器にもなり得ます。ですから、カーボンニュートラルには積極的に取り組むことが求められるのです。
持続可能な経済社会を実現するため、カーボンニュートラル、脱炭素社会のための取り組みを検討しましょう。