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人的資本経営

社会情勢や事業環境の変化が起こる中、企業価値を高めるための考え方として「人的資本経営」という言葉を聞く機会が増えてきました。

ここでは、人的資本経営とは何か、どうして今人的資本経営が必要なのか、どのようなメリットがあるかなどを解説します。

人的資本経営とは何か?

企業の資本には財務資本や製造資本などがありますが、最近注目されているのが人的資本です。人的資本は人材を企業の資本として考え、その価値を引き出すことが企業価値向上に繋がることを意味します。

持続可能な社会に向けた取り組みが叫ばれる中で限りある資産や資源を大切にすることも重要視されており、この資産に「人財」も含まれているのです。見えない資産に企業価値を見出す流れとなっています。

日本では持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会を開催し、人材版伊藤レポートとして公表されています。

人材版伊藤レポート2.0とは

令和4年5月に公表されたこのレポ―トでは、人材戦略と経営戦略を連動して実践するためのアイディアの引き出しとして作成されています。

人的資本経営に積極的に取り組んでいる企業は問題意識を持ち、企業として目指すところ、やりたいこと、そして実現のために必要な人材についてを具現化・明確化していると記載されています。

人材に関する課題を抱える企業を社会で支援する取り組みが必要であり、企業経営の在り方や故人の働く意思などが望ましい姿へと変わっていくことの必要性を示しています。

なぜ今、人的資本経営が注目されているのか

人的資本経営が注目されている背景には、人材をコストではなく企業成長のための投資対象として捉えるようになっている点が挙げられるでしょう。

企業は長期利益を得ることを目標としていますが、物への投資には生産力が頭打ちになるなど限界があります。一方、人材への投資は物への投資と異なり5倍、10倍の価値になる可能性もあり、人材のマネジメントは生産性を大きく向上できる期待があるのです。

また、少子高齢化により人材や働き方が多様化したことで、1人1人に適した働き方によって活躍できる人的資本経営が重要となっています。

さらに、SDGsの中で「働きがいも、持続的な経済成長も」という項目がありますが、人的資本経営も含まれています。企業が人的資本経営に積極的に取り組むことにより、SDGsに関心の高い若者・人材を取り込むことが出来る、企業としてのイメージ・価値を高めることが出来るでしょう。

人的資本経営のメリット

投資が受けられる

人的資本経営を推進していると、企業の利益だけでなく企業の経済活動や社会的価値を併せ持つ事業を行っていると示すことが出来ます。そのため、投資家からの投資が受けやすくなり、企業価値が上がることにも繋がります。

企業価値が上がる

取引先や顧客に対し、企業イメージアップは重要な課題です。人材の育成に力を入れていることを示すことが出来れば、企業イメージアップが期待できます。また、企業価値が上がれば雇用に関しても優秀な人材を確保できるメリットに繋がり、社会的信頼もアップするでしょう。

生産性が向上する

人材へ投資を行えば、社員の成長が促進されます。仕事の生産性向上に繋がるだけでなく、離職率の低下や会社への帰属意識が高まると言ったメリットも期待できるでしょう。

人的資本経営の主な取り組み

経営戦略と人財戦略の連動

人的資本経営を実践するための最も重要な視点として位置づけられており、経営陣が主導して人材面の課題について具体的なアクションを考えることが重要だとしています。

伊藤レポートでは、具体的なアクション内容も挙げています。

現在の姿と目指すべき姿のギャップ把握のための取り組み

現在の姿「As is」からあるべき姿「To be」のギャップを定量的に把握することで、人材戦略を見直していきます。

そのためには、人事情報基盤の整備や定量把握する項目を一覧化する、人材ポートフォリオ計画をふまえた目標・達成までの期間を設定する必要があります。

企業文化定着のための取り組み

目指す企業文化を見据えた人材戦略の策定を行うことを重要と考えるものです。

動的人財ポートフォリオ計画の策定と運用

必要な人材の質と量を確保し、中長期的に維持することにより経営戦略が実現できます。そのため、事業構想を踏まえた人材ポートフォリオのギャップ分析、ギャップに基づいて早期に社員の再配置や採用活動を検討・実行します。

高度な専門性を持つ人材の採用や、新卒一括採用に限定しない学生採用方針を策定します。

リスキル・学び直しのための取り組み

経営環境の変化への対応や、社員のキャリア形成のためのリスキル・学び直しを積極的に支援します。具体的には以下の取り組みが挙げられます。

社員エンゲージメントを高める取り組み

社員がやりがい、働きがいを感じるための環境を整えるため、社員エンゲージメントレベルを把握し、レベルに応じたアサインメントの提案を行います。また、副業や兼業など様々な働き方の提案や、健康状況の把握についても計画的に取り組みましょう。

時間や場所に捉われない働き方を進める取り組み

働き方が多様化している今、いつでもどこでも働けるような環境整備が求められています。それと合わせてマネジメントや業務プロセスの見直しも必要となるため、円滑なリモートワークのための業務デジタル化推進、オフィス出勤とリモートワークの最適な組み合わせの実現について取り組みます。

まとめ

人的資本経営は、人材を企業の資本とする考え方です。人材の価値を引き出すための経営を行うことで、企業の持続可能性の判断ができ投資家からの投資へと繋がる、企業イメージがアップする、人材確保に繋がることが期待できます。

人材に関する取り組みはすぐに結果がでるものではないため、課題を特定して1つずつ改善・取り組んでいかなければいけません。

人的資本経営について知り、自社に合う取り組みを進めていきましょう。